2.9 - 日照解析および Insight でのエネルギー解析
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FormIt には組み込みの環境解析ツールがあるため、初期のデザイン スタディでも建物パフォーマンスの観点から理解することができます。これらの機能は、 FormIt Pro ライセンスでのみ使用できます。そのため、 FormIt Web で作業している場合はアクセスできません。この章で説明するツールを使用するには、インターネット接続が必要です。 FormIt Proの詳細についてはこちら(英語)を参照してください。
この章では、 日照解析 と Insight でのエネルギー解析 の両方を Encode Campus Sample Model.axmで実行します。まだダウンロードしていない場合は、 FormIt Primer Part 2 Dataset からファイルをダウンロードできます。
注: 解析ツールを使用する前に、プロジェクトの場所を設定する必要があります。Encode Campus Sample Model の場所は、既に米国コロラド州デンバーでのプロットに設定されています。これは、 標準ツールバー で [場所] ボタンをクリックすると確認できます。プロジェクトの場所を設定する方法の詳細については、パート 1 の「 1.1 - 場所を設定する 」の章を参照してください。
プロジェクトの場所を設定したら、影を有効にして日時を調整することで、正確な影を表示できます。次に、夏至、冬至、春分を記録する 3 つのシーンをモデルに追加します。
注: 影によってアプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。これを軽減する 2 つの方法として、モデルの速度が遅くなる場合は影をオフにすること、また家具や人物を含むレイヤのように 影の解析に不要なレイヤ をオフにすることをお勧めします。
1 - [シーン]パレット を開いてシーン Default View and Visibility に移動し、キャンパス全体がよく見えるようにします。
2 - 影を使用する最初のシーンを作成します。
まず、影を有効にします。標準ツールバー にある [太陽 + 日影] ドロップダウンで [影]
[通日] を 6 月 21 日 に更新します(年は重要ではないため、既定の 2000 で問題ありません)。
[時間] を 12:00 PM に更新します。
図のように、「Shadows – Summer Solstice 」という名前の新しいシーンを追加し、[太陽と日影] を除くすべての[シーン プロパティ]のチェックボックスをオフにします。
注: シーンの作成と編集の詳細については、パート 1 の「1.12 - 表示スタイル 」の章を参照してください。
注: 大きな青色の [日照解析] ボタンについては、機能が影とは少し異なるため、次のセクションで説明します。
3 - 同様の方法で、さらに 2 つのシーンを作成します。1 つは、12 月 21 日の 12:00 PM に設定し、「Shadows – Winter Solstice」という名前を付けます。もう 1 つは、3 月 21 日の 12:00 PM に設定し、名前を「Shadows – Spring Equinox」にします。
4 - シーン Eye Level - Plaza に移動し、先ほど作成した 3 つの影のシーンを切り替えて、影がどのように変化するかを確認します。これらの影のシーンはカメラ位置に関連付けられていないため、モデル内の任意のビューまたはシーンに移動してから 3 つの影のシーンを切り替えると、影の動きを解析できます。
注: 書き出し([Ctrl]+[E]) を使用して、イメージと、さまざまなデザイン オプションの表示をコントロールするためのレイヤを保存すると、シーンと影を利用して、さまざまなデザインで異なる時点での影の効果を書き出して比較できます。
5 - シーンを増やしてさまざまな時間で解析する代わりに、太陽エディタ ツールを使用してみます。
[設定] ドロップダウンで [事前選択ハイライト(PS)] をオフにします。こうすることで、3D の太陽エディタで時間を調整するときに、マウスを合わせたジオメトリが青色になりません。
[太陽 + 日影] ドロップダウンで、[太陽エディタ(DR)] ボックスをオンにします。キャンバスの中央に太陽の軌道図が赤色で表示されます。
時間目盛りの付いた赤色の円弧上にある丸い青色のグリップをクリックしてドラッグし、影の時間を変更します。この操作でビューの全体的な光の明暗はすぐに変わりますが、マウス ボタンを放すまで新しい影はレンダリングされません。
現在のビューをオービットします。太陽エディタ(DR) が画面の中央に残っていますが、それを中心に回転させると、その日の太陽の軌道を表す 3D のアーチであることがわかります。先ほど作成した影のシーンを切り替えたり、[太陽 + 日影] のドロップダウンで日付を変更すると、その日付に合わせて赤色のアーチが移動します。
注: ツールバーの表示設定は、任意のツールバーを右クリックするか、 [ウィンドウ] ドロップダウンを選択して希望のツールバーに切り替えるとカスタマイズできます。上の図では、 [標準ツールバー] をオフにし、 [設計ツールバー] のみをオンにしました。このツールバーには 太陽と影 のツールが含まれています。
6 - 終了したら、必ず [太陽エディタ(DR)] を再度オフにし、[事前選択ハイライト(PS)] を再度オンにしてください。
このツールを使用すると、選択したサーフェスに対する太陽光の照射のヒート マップをすばやく作成できます。
1 - 日照解析ツールを起動すると、特殊な選択モードに切り替わり、パレットやツールバーのすべてを含む他のほとんどのツールにアクセスできなくなります。そのため、開始する前に表示設定をいくつか調整します。
既製のシーン Solar Analysis Visibility を開きます。このシーンでは、シミュレーションに必要のないガラスなどの詳細要素を含む多数のレイヤが非表示になります。日照解析では透過性は考慮されないため、床と壁のみを選択できるように窓を非表示にする必要があります。家具、手摺、人物といった不要な詳細要素を含めると、日照解析の速度が低下することがあります。
注: パート 2 の他の章で作成した新規レイヤで、日照解析に含めないもの、たとえば「 2.2 - 高度なモデリング ツール: シェル化とかぶり 」の章で作成したペントハウスのカーテン ウォールや「 2.6 - Dynamo FormIt ノード 」の章で作成した階段と手摺なども必ずオフにしてください。これらの設定を調整した後、 Solar Analysis Visibility を更新して、これらの表示設定の変更を反映させることをお勧めします。
2 - [太陽 + 日影] のドロップダウンで [日照解析] ボタンをクリックして、日照解析を開始します。FormIt が最も近い気象ステーションを特定して必要なデータを収集するまで、少し時間がかかることがあります。
3 - 解析に含めるサーフェスを選択します。日照解析のサーフェスの選択は、FormIt の通常のオブジェクト選択とは動作が少し異なるため、次のように操作することをお勧めします。
[正投影] ボタンをクリックして、正投影ビュー モードに切り替えます。このモードでは通常のキーボード ショートカットは機能しないため、ボタンをクリックする必要があります。
上から Encode Campus を見下ろすようにビューをオービットし、下図のようにメインの建物が画面に対して水平方向に配置されるようにします。
クリックとドラッグによって選択窓を作成します。メインの建物の左上をクリックしてそのまま右下までドラッグし、メインの建物全体を囲む矩形の選択窓を作成します。
選択に誤りがあった場合は、[リセット] ボタンをクリックすると現在の日照解析用の選択を解除できます。
[パース投影] ビュー ボタンをクリックし、ビューを回転させて 3D に戻します。
同じ敷地にある他の 2 つの建物の、レンガのファサードと屋根サーフェス(窓以外)をダブルクリックして、すべての外部サーフェスを選択に追加します。
[日照解析]ウィザード に戻り、[解析] ボタンをクリックして解析を実行します。解析には 1 ~ 2 分かかる場合があります。毎月のピーク負荷だけでなく年間の太陽熱の総負荷も計算するためです。
注: 日照解析でサーフェスを選択する場合、複数の要素を選択するために[Ctrl]や[Shift]を押したままにする必要はありません。任意の要素をクリックするだけで、その要素を現在の選択に追加したり、現在の選択から削除できます。
4 - 解析が完了すると、次の結果を確認できます。
解析した面上の任意の点にマウスを合わせると、その点の輻射値が表示されます(ただし、ここではクリックしないでください。クリックすると選択が変更され、解析を再実行しなければならなくなります)。
[日照解析]ウィザード で、スライダを動かしてピークを確認する月を変更します。月ごとのピーク モードは、シェーディングのシミュレーションに役立ちます。値は BTU/sq ft で示されます。メインの建物の北側ファサードにあるルーバーは、夏の夕方の太陽を遮る効果が高いように見えます。一方で、暑い季節の数ヵ月は通りに面した建物の南側のガラスに外からの太陽光対策を行う必要がありそうです。
[範囲/方法] ドロップダウンを [累積年] に変更すると、選択した各サーフェスの 1 年間の露出の合計が表示されます。これは、PV の可能性をシミュレーションするのに役立ちます。建物は陸屋根であり、影を生成する高い建物が隣接していないため、Encode Campus の陸屋根の一部は太陽光パネルの設置に適している可能性があります。これらの計算値(kWh/sq m 単位)を、初期のデザインの段階で PV パネルの製造業者と共有し、PV パネルの設置によって得られる潜在的なエネルギーを計算できます。
日照解析を終了するには、[日照解析]ウィザード の左上隅にある小さなチェックマークをクリックします。
注: 影のシミュレーションと同様に、 書き出し([Ctrl]+[E]) 機能を使用して、さまざまなデザイン オプションの日照シミュレーションのイメージを保存し、それらを比較することもできます。
FormIt には、Revit で使用されるものと同じ建物パフォーマンス解析ツールが統合されています。Insight には、建物システム パラメータのダッシュボードがあります。このパラメータを調整することで、モデル ジオメトリを 再解析 せずに可能性のあるシナリオを反映させることができます。Insight は、FormIt マス ジオメトリで最適に機能します。
1 - Insight はマス ジオメトリで最適に機能するため、シーン Massing Only を開きます。
2 - Encode Campus にある建物のみを解析し、周囲の建物すべてを解析しないようにするため、レイヤ Existing – Context Buildings – Massing および Existing – Streets and Paving をオフにします(FormIt では表示されているジオメトリのみが Insight に送信されます)。
3 - Insight では、解析対象のジオメトリに少なくとも 1 つのレベルを適用する必要があります。Encode Campus Sample File.axm のレベルは既にこれらのマスに適用されていますが、建物の床の高さに影響する変更をモデルに加えた場合は、マス ジオメトリとレイヤの高さの両方を更新する必要があります。レイヤを調整し、特定のジオメトリに適用する方法については、パート 1 の「1.4 - レベルが適用された床を追加する 」の章を参照してください。
4 - 解析を開始するには、標準ツールバー で [エネルギー解析] ドロップダウン ボタンをクリックし、唯一グレー表示になっていないオプションの [Insight を作成] を選択します。この解析はクラウドで実行されます。この解析には数分以上かかる場合がありますが、結果が出るまで FormIt でモデリングを続行できます。
5 - 解析が完了すると、[Insight を表示] ボタンを選択できるようになります。これにより、Web ブラウザが起動し、解析結果を表示できます。または、既に実行した Autodesk Insight 解析がある場合は、http://insight.autodesk.com にログインして表示できます。
6 - Insight のエネルギー解析では、Web サイトで個別にリアルタイムで調整できる多くの要素に基づいて、エネルギー使用度の数値がレポートされます。要素には、たとえば空調タイプ、稼動スケジュール、屋根施工、ガラスの割合などがあります。要素はそれぞれカードのように表示され、現在の設定と、設定の調整がそのデザインのエネルギー使用度に与える影響を示します。FormIt モデルはマスのみを表していますが、Insight のエネルギー解析では、初期段階でデザインを伝える際に役立つ詳細なフィードバックを得ることができます。カードをいくつかクリックして調整し、計算値がどのように変更されるかを確認してみてください。
Insight が示すデータを読んで理解し、モデルの出力を Ashrae 90.1 などのベンチマークや Architecture 2030 Challenge と比較する方法の詳細については、「 Insight ブログ(英語) 」のページを参照してください。
注:
デザインが大幅に変更された場合は、更新されたマスを同じダッシュボードに再送信すると、既存の解析が更新されます。更新されたデザイン用に新しいダッシュボードを作成する場合は、最初に [名前を付けて保存] を使用して、FormIt モデルの新しいコピーを保存しておきます。
エネルギー解析に失敗した場合は、非多様体または隙間のあるマス ジオメトリを Insight に送信した可能性があります。FormIt でこれらの問題を特定して修復する方法については、パート 2 の「 2.7 - 診断ツール 」の章を参照してください。